結核・抗酸菌症


結核菌の増殖制御、休眠現象、長生きのしくみ

  結核・抗酸菌は、一般の細菌に比べ、増殖が緩やかであること(結核菌の倍加時間は、15-24時間と人細胞並です。対照、大腸菌、20分)、また生体内で結核菌は増殖を停止したまま眠りに入る(休眠、dormant)という特徴があります。私達は、結核・抗酸菌の増殖を負に制御する蛋白質、Mycobacterial DNA-biding protein 1 (MDP1)を同定しました。MDP1は、核様体を形成する蛋白質で、細菌では珍しく、長大な天然変性領域を有し、翻訳後修飾の生じる蛋白質です。このことは、真核細胞にみられる、クロマチン制御やエピジェネティクスのようなしくみを、抗酸菌が持っていて、増殖制御を行っている可能性を示しています。また、MDP1には、生存に必須の鉄を貯蔵したり、寿命とも関連する酸素ラジカルの産生を抑制する機能があります。


 結核の発症は、結核菌が眠ったままであるか? もしくは増殖を始めるか?、つまり菌の増殖によって決定されます。MDP1を足がかりとした抗酸菌の増殖制御と長生きを探る研究は、結核の潜在化と発症がどのように決定されるかを解く可能性があります。また、細菌のエピジェネティクス、つまりDNA配列情報によらない形質遺伝や、単細胞でありながら休眠して人並みに長生きする結核菌の長生きの秘密を、赤裸々にするかもしれません。それは、われわれ人類の長寿のヒントにもなると考えられます。

 

Matsumoto et al, M&I and FEMS 1999, 2000, Aoki et al J Bio Chem, 2004, Katsube et al, J Bacteriol, 2007, Hirayama et al, PLoS Pathog, 2009, Takatsuka et al, PLoS One, 2011, NIki et al, J Bio Chem, 2012. Shymaa 論文作成中

結核菌の増殖制御、休眠現象、長生きのしくみ